まだ誰も語っていない『フルタの方程式』の良さを語る



フルタの方程式とは、野球選手であった古田敦也が、

“球界の頭脳”古田敦也の冠番組がYouTubeで復活!
名選手たちのハイレベルな技術論や、プロ野球選手だけが知るエピソードに加え、野球のギモンを解決する“方程式”を提案。『野球好きのバイブル』となるコンテンツを配信していきます!

https://www.youtube.com/@furuta-houteishiki

という風に運営しているYouTubeチャンネルである。
 
 これがめちゃくちゃに面白い。調べても、このチャンネルを語っている文章が全然ないので。というか、YouTubeや動画に対するアンサーは常に同メディアの動画になりがちで、つまりテキストというメディアとは隔たりが大きい。

 面白さを端的に言えば、小学生のころに野球に打ち込んだ身からすると、「青春の答え合わせ」である。

 まず、古田敦也を知らない人に彼を紹介すると、現在の大谷翔平に引きを取らないレジェンドと言っても差し支えない。

 捕手としては、日本野球界の名捕手である野村克也からの薫陶をうけ、いわゆるデータ野球を継いだ捕手として、90年代と00年代では一番活躍した捕手であり(ゴールデングラブ賞というその年のMVPは、基本ずっと彼であった)、ヤクルトスワローズの全盛期を支え、戦績と球団の成績が完全に比例するほどの屋台骨であった。他にも、例えば、「フレーミング」という今のアメリカ野球では流行りの技術であるキャッチングを、遥か30年前には行っていた。要は選手として、超一流であるのだ。

 そして、単なる活躍した一選手でなく、プロ野球の選手会長として活躍した。ナベツネが提示した1リーグ構想に反対し、2リーグ制度を維持、日本初と最後となるプロ野球のボイコットを主導したりと、そもそも現在のプロ野球界を守った存在とも言われる(交渉の会議のために、試合に遅刻し代打出場しているとき、球場全体が彼を応援している光景が、小学生ながらに覚えている)。

 そのあとは、ヤクルトの監督兼選手として活躍し、「代打オレ」という名言も残し、球界の上から下まで縦横無尽の活躍を見せた。


 というわけで、そんな古田が語る野球というだけで十二分に面白いのだが、そもそも呼ばれているゲストとのやり取りが面白い。身体の動かし方含め、プロといえども、全員が全員、十人十色の理論を受けとめながら解説するのは、野球マニアとしての面白さも勿論、しっかりエンタメとして笑いも足しながら料理しているのが、まさに捕手なのだ。

 何より、この古田が若い。実際は、還暦という年なのだが、チャンネルに登場する球界の有名人にタメ口で話しかけているのが、違和感が出るくらいに。彼自身も、大学・社会人として多様なキャリアがあるから、いろんな人との接点があり、だからこそ広がる話が多様で、ゲストが活躍できる理由になっていると思う。
 
 また古田や野球選手が集まって、「もっと評価されていい」のような観点で野球を語ったりと、一般メディアで一辺倒に見られがちな選手評価と違うところで、昔の選手にスポットライトを当てているのは、野球の見え方を広げて、とても価値がある。

 そもそも当時から、野球選手当人が正直に語るメディアがなかったので、こっちとしては、あの時追いかけた野球界の答え合わせのような気分になる。当時は、敵同士で話さなかった仲でも、今となってお互い手の内を話し合うのは、野球ファンとしては累積の念が叶っている気分でもある。例えば、デッドボールをわざと投げる話なんて、ほら、やっぱり!という。