オランダで書かれた心理学・行動経済学を専門とする著者が書いた本を読んだ。
古代ギリシャや古代ローマの時代から、人の行動を変えたい時は、その内容を言葉で明確に説明し、体系的な情報やロジックを示し、感情に訴えかけ、信頼できる方法で伝えることが大切だと考えられてきた。しかし、従来の方法に従って論理的に説明したり、情報を提示したりしても、相手が動いてくれるとは限らない。
私たちの行動は、環境にとって変わる。「一見すると小さなことが人の行動に大きな影響を及ぼす現象」を「ハウスフライ効果」と呼んでいる。この現象は、人間の先入観や偏見といった「勘違い」が原因となる。この勘違いは「認知バイアス」と呼ばれるもので、既に科学的に広く研究され、名称があるものも多い。
このそもそも人間に与える認知バイアスの中で、「望ましい行動を簡単に、楽しく、自然に促す、環境における小さな変化」をノーベル経済学賞のリチャードセイラーが提唱して「ナッジ」と呼ばれる。
本は、社会のいろんな実例を持ち出して、このナッジや認知バイアスを紹介していく。
以下、面白かったところを箇条書きに。
「人は選択肢を与えられるのを好むが、選びたくはない」
だから、例えば、オンラインメディアの有料購読は、高いor安いに加えて、”高いけど大したことない”内容を加える。そうすると、いつのまにか似た2つを比べて、内容的に十分な(に見える)高いオプションを選んでくれる。
また、公道の灰皿に、”メッシとロナウド、どっちが好き?”という2つを置くと、人は、”灰皿か道か”という選択肢をうまくスキップできて衛生に役立つ、ということもある。
「選択で一番効果的なのは、デフォルト=何も選択していない時に選んでいる状況。」
”同意いただけるときは返信不要です”のようなサブスクサービスなどがこれに近い。また、「みんなが選んでいるから」という社会的に選びがちなものも当てはまる。日本だとこれは起きやすいだろう。つまり、「選択は習慣化する」
「新しい習慣をつくるのは「途中でやめるのはもったいない」という気持ち。」
この既存の認知バイアスに負けないように、習慣をつくるモデルをフックモデルといい、4段階から成り立つ。
トリガー;擬似タスクのようにやらないといけないデザインで人に認知を与える
アクション;ユーザーの行動がある
変化するリワード;行動によってランダムなリワードを与えることで期待値をあげる
投資とサンクコスト;ここまできたらもったいないと思わせる
これを学習や労働スキルといったところで活用すると、
「行動を可視化して記録する」となる。
ここで「目標をたてて、未来の怠惰な自分が少しは頑張っては働くかもしれないという期待」を持つと、コミットメントが生まれ、行動が改善される。この行動は実行意図とよばれ、具体的であればあるほどよい。
「情報ギャップ理論。人間は何も知らない事には興味を示さない。またなんでも知っていることにも同じく興味を示さない。つまり、知っていることと知らないことの間(ギャップ)が一番好奇心が起きる。」
「注目すると無意識に価値がある、と思ってしまう」
「スーパーで野菜が先でチョコレートが後にあるのは、自己肯定感を高めてあげるから」
などなど