麻布十番の冷やし蟹ラーメンの何に火がついているのか冷やし蟹ラーメンについて

世間を賑わせているこれである。
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元々、ハラル蟹ラーメン(意訳)をやって、そこそこに叩かれている人だったので、本件、まさに着火剤に薪もくべられて火がついたような騒ぎだろう。
食中毒という、「よもや人命が」がというぐらい物事のレベルが丁度良くて、なおさらに石を投げやすく、初期対応のマズさも含めて、非常に的が大きい状態である。

理路整然としてしまえば、完全に食中毒を出したほうに落ち度はあるし、どう考えても素人同然の発想でしかなかった現場が透けてみえてしまう。
まずサルモネラ菌は熱することである程度は除去できる。そもそも冷やし蟹というのは、蟹を茹でて、冷やすレシピだと思うのが、それをやってなかった・・?というレベルになってしまう。おそらく、量が多くて、時間を端折ったとかそういうことなんだろうと想像する。
とはいえ、前日には、どうやらラーメンを700杯以上余らせた、というが、その1点にそもそも飲食店として大いなる疑問がある。それほど仕込んでいた、ということだろうが、少し論点が違う。
まず初めに、飲食店として、「用意すること」と「ロス」は全く違う。
たとえば、1.何日か保存が可能な蟹を冷凍庫や冷蔵庫に入れておき、2.オーダーがありそうだから湯掻いておく、とする。もちろん、冷凍か冷蔵で数日から数ヶ月の幅があるのだが、そこのグラデーションは一旦おいておく。この2.の湯掻いた状態になってしまえば、たとえば翌日に持ち越すことすら無理だから、提供できない場合はいわゆるフードロスとなる。この1.の段階で保存しておいてものを普通はロスと言わない。というか、1.の段階で廃棄になるのは、そもそもメニューから消えるとか在庫過多とか別の問題が多い。そして、翌日に持ち越すのが無理、というのは、食中毒の危険も鑑みてというより味も考えてだ。シンプルに、屋外に食材を数時間置いておいて、それが人からお金を取れるレベルか考えられるだろう。ちなみにゴールデン街で18時に開店して、卓上に並べられていた惣菜のポテトサラダは、僕が遅番を担当する朝方3時くらいにはしっかり酸っぱくなっていた。常温で数時間強おくと、食べ物はそうなるのだ。
報道では使い回しを否定しているけれど、シンプルに1.の状態であれば、ある意味で翌日に使うのは当たり前だし、逆に2.の状態であれば、なぜそんな大量にロスの可能性がある状態のものを仕込んだのかと疑問だ。
結果として700杯超が目標だとしても、客数の入り方は1日を通して分散されるのだから、”普通だったら”、朝の時点で100-200食を用意、客入りを見ながら、別班が、仕込みを開始、出具合に応じて、その仕込みの速度をコントロールする、というものだ。
で、この仕込みというのが、ある程度数をまとめてやるから、出ると思って仕込んだのに出ない=ロス、というのはありえる。よくある話だけど、こういうときは周りの飲食店さんや関係者に賄い的に配ってしまう。というか、そんなやりとり含めて、イベント出店の醍醐味とは思う。
だから、この700杯余る、という表現は、なんとかして売り上げをあげたいというインターネットのアテンションエコノミーに囚われた者の表現として、単なる揶揄だと信じたいが、「使いまわしていない」という謎の弁護に少し違和感を覚えた次第である。

人々はソフトシェルクラブの原産地が気になるから叩いているのではない、世の中にそこまで蟹好きは多くない。
ラーメンという日本的清貧代表フードを、インフルエンスし、アテンションエコノミーど真ん中を突っ走る彼に日本の集団心理が働いている。その集団心理の善悪はここでは論じないが。まだ蟹ラーメンだけだったら、「俺たちの『ラーメン』で儲けやがって」という妬みの範疇でもある。しかし、この「700杯余る」経緯を聞いてしまうと、(例えば僕みたいな)部外者すらも、「それはさすがにあかんわ」というなってしまい、これが、冒頭でもいった着火剤となり、せっせっと薪を焚べていたアンチの火が大きなキャンプファイヤーとなっていくのだった。